01・08
あ〜、猛烈な忙しさが一段落…。6月に、北京五輪に向けて、一つ面白いイベントを企画中!!。私の最もオタクな部分を大放出!?。今週中にUPします!。

ついに今度の日曜日、「さがみはら」のマスターズで、あの秘密兵器を披露しようかと…。1999年、シドニー五輪を目前にむかえたオーストラリアで、「SPEEDO社」で開発された「SPEEDO★MASK」。当時、結構話題になったので知っている方も多いかと思いますが…。結局使われることがなかった「SPEEDO★MASK」。I.ソープ選手、G.ハケット選手、M.クリム選手らも結局使用を断念した代物…。どんな物かといいますと、シリコンキャップとゴーグルが一体となったもの…。その姿は、目を引くなんていうレベルのものではなく…。先日、Sさんの家で、もらってきたものですが、なんでこんなものを持っていたのか…。しかし困った事に、私は、この日、背泳ぎにしかエントリーしていなかったのです。背泳ぎでこれをつけるとすると、かなりあやしい!?。でもやってみるか…。


NEWS『競泳の北京五輪背泳ぎ代表の森田智己(23)と伊藤華英(23)=ともにセントラルスポーツ=を指導する鈴木陽二コーチ(58)は11日、世界新記録を続出しているスピード社の新水着「レーザー・レーサー(LZR)」に関して「海外のレースでできれば試したい」と語り、6月のローマオープンとバルセロナGPで、両選手に着せて実戦テストしたい希望を明らかにした。日本水泳連盟は30日までにサプライヤー契約を結ぶミズノ、デサント、アシックスの3社に北京五輪に向けた水着の改良を要望しているが、LZRを上回る水着が完成出来なかった場合、6月にもLZRが解禁される可能性がある。 LZRは個人種目で17個の世界新を生んだが、そのうち6個が背泳ぎと他種目より好記録を生んでいる。4月の代表合宿で、LZRを試着した背泳ぎ選手の泳ぎを見た北京五輪競泳日本代表ヘッドコーチでもある鈴木コーチは「過去にない」とその威力に感嘆していた。この日、千葉県国際総合水泳場で行われた記録会に出場した伊藤も、「(五輪は)人生がかかってる。速いと言われているのなら(より良い水着を)着て、0・01秒でも速くしたい」と語った。 』


NEWS『4月15日から行われた日本選手権で、31名の北京五輪競泳代表が決まった。国際水泳連盟が定める参加標準記録のはるか上に設定された記録をマークしたうえで2位以内に入る。そんな厳しい選考条件を一発勝負でクリアしなければいけない大会は、悲喜こもごものドラマを生んだ。そのなかで久しぶりに好調な姿と、北京への期待を見せたのが北島康介だった。04年アテネ五輪2冠獲得後は、故障などで力を発揮しきれていなかった彼だが、目標の北京が迫ってきて気力も充実。キックだけでなく腕の掻きも生かした新泳法で、100mは日本新こそ逃したが59秒台を3連発し、200mは世界記録に0秒34と迫る日本新をマーク。この種目5年ぶりの自己新で気持ちも乗り、世界記録保持者・ハンセン(アメリカ)追撃態勢も整った。一方、もうひとりのアテネ五輪金メダリスト、自由形の柴田亜衣は苦しい代表権獲得だった。昨年末に痛めた腰の影響で泳ぎが小さくなり、400mは優勝したものの、五輪出場が認められる派遣標準記録に届かず。もう後のない800mで、400mを通過してから開き直ったように大きな泳ぎを取り戻して代表の座を手にした。女子自由形の世界のレベルは上がっているが、指導する田中孝夫監督は「800mなら、泳ぎを修正すれば戦える」と話す。彼女の連続メダルは、今後の強化と調整にかかっている。他にも女子200mバタフライでは中西悠子が2分06秒38の日本新を出し、女子背泳ぎでも100mは伊藤華英が59秒83の日本新。200mも中村礼子が2分08秒80とハイレベルな記録で優勝して期待を膨らませた。だが、ともに世界は、今年になって好記録が続出している種目。メダルを確実にするには、まだまだ油断できない。31人中五輪経験者は8人だけという若いチーム。本番までに、各選手がそれぞれの課題を意識し、もう一段、成長することが必要だろう。』


NEWS『空から「がんばれ!ニッポン!」−−。北京五輪に臨む日本選手団を応援しようと、機体に日本人メダリストの顔写真と直筆の応援メッセージをプリントした大型機が12日、国内線で就航した。日本選手団の移動をサポートしている日本航空が企画。体操の森末慎二さん、水泳の鈴木大地さん、岩崎恭子さん、女子マラソンの有森裕子さんらが、「己に勝て 世界に勝て」(鈴木さん)といったメッセージを寄せた。 』


NEWS『水着問題で揺れる日本競泳界に、救世主が浮上した。日本水泳連盟から30日までに水着の改良を求められている国内3社に、山本化学工業(本社大阪市)が素材を提供することが10日、分かった。複合特殊素材メーカーの同社は、世界新を連発している英スピード社に負けないと自信満々。米航空宇宙局(NASA)と共同開発したスピード社に、従業員73人の企業が真っ向勝負を挑む。山本化学工業・山本富造社長(49)の自信は本物だった。「日本製より英国製がいいと言われるのが頭にきていた。絶対、スピード社より速いです」。NASAとの共同開発を売り文句に、世界トップのブランド力を誇るスピードを向こうに回し、ナニワの技術屋の熱い血が沸騰した。競泳界では無名の同社だが、トライアスロンやオープンウオーター(遠泳)の世界では知られた名前だ。6年前から世界のメーカーの依頼を受け、アウトドア用の水着素材開発に着手。表面に水の分子を吸いつけるラバー加工を施し、低抵抗性を実現した「バイオラバースイム=SCSファブリック」を完成させた。スピード社製は撥水(はっすい)性の高さで有名だが、山本化学工業の素材も水が全く浸透しないため、水中でも重さが変わらないという。この素材は既にニュージーランドのブルーセブンティー社が使用して商品化。国際水連(FINA)の認可も受けた。4月上旬に関大で行ったテストでは、選手から「体が浮く感じがすると言われた」と森本雅彦執行役員。スピード社と同じように浮力を感じる水着だという。昨年10月に日本水連と契約するミズノ、アシックス、デサントの3社に持ち込んだ際には断られた。だが、今回は逆に3社から別々に素材の提供を求められ、9日にテスト用素材の納品を済ませた。「五輪で、日本の技術屋は大したものだと思ってもらえれば、それだけでいい」。山本社長以下、従業員わずか73人の大阪の町工場が、世界に挑む。
 ≪各社 本格始動≫当初、新たな素材の開発、使用に消極的だった国内3メーカーは、日本水連が30日を水着改良の期限と設定し、目標がはっきりしたことで本格的に動きだした。3社が五輪用に開発した水着は、親水性や柔軟性、フィット感などを重視したもので、撥水性を前面に出したスピードとは対照的だった。3社は既に山本化学の素材を入手。デサントの担当者は「あらゆる可能性を探る中での1つの素材」と説明し、アシックスの担当者は「商品化も検討している」と前向きだった。』


NEWS
『NHKの北京五輪現地派遣キャスターが決まり8日、東京都渋谷区の同局で発表された。8月8日の開会式は、「紅白歌合戦」「日本の、これから」で知られるベテランの三宅民夫アナ(55)と元スポーツアナで、現在は「ニュースウオッチ9」の青山祐子キャスター(35)が担当。青山は「オリンピック&ニュース」のキャスターも務める。スポーツ番組と無縁だった三宅アナは「自分が一番驚いています。中学まで水泳をやっていましたが、今は駅まで自転車に乗る程度。あ、これはスポーツといえませんね」と苦笑い。「現場の空気感を的確に、そのままに伝える。アナ人生の集大成に」と語った。ほかに輿芝由三栄(33)、豊原謙二郎(35)両アナ、開会式ゲストで歌手の谷村新司(59)が現地入りする。』


NEWS『アテネ五輪競泳女子200メートルバタフライ銅メダリストの中西悠子(27=枚方SS)が「嫁入り道具」として金メダルを狙う。北京五輪代表に決まった近大のOBと現役生の4人が7日、東大阪市の近大本部キャンパスで五輪出場決定を報告。3大会連続出場の中西は「悔いを残さないようにしたい。年齢的に最後の五輪。次(12年ロンドン五輪)になると31歳だし、結婚もしたい。まだ相手はいないけど…」と、ラスト五輪へ意欲を燃やす一方で“結婚宣言”をした。この日は4大会連続五輪出場を逃して引退した母校の先輩山本貴司さんも同席。近大の世耕理事長には「次の五輪も出て、山本君を抜いてよ」と日本競泳界初となる偉業への挑戦を勧められたが、すぐに首を横に振った。4月の日本選手権では100、200メートルで日本新を連発するなど絶好調。今大会は男子の北島とともに主将を務めることが濃厚。「引っ張るのは北島君だけど、自分の経験を生かしてアドバイスできたら」と日本競泳陣をリードする』






01・08
GW★イベント、大盛況でよかったです!!。今回は、ある共通のテーマがありました。次号のSWIM誌で、特集となる原稿にも基づいた内容でした。今回の記事は、本当に難しくて、仮に、何とかなったとしても、あちこちからご意見が来そうな!?。これまでにない要素もあるし、間違いがあってはいけないし、かなり慎重に慎重に。過去10年分くらいの国内、海外の国際大会の映像を全て見直し、いいところだけをピックアップ。きっかけは、2002年のパンパシ。それ以降、色々な選手を見続けていました。昨年の世界競泳ではかなり決定的に!。僕だけが思っていることなのか、どうなのか…。肝というか、ポイントみたいなものが、「これ!」というわけではなく、でも重要なポイントはたくさんあって…。いまいち伝わらない感じもあって、きっと今回はボツかな…と思っていたので、何とか記事になりそうなのがうれしいです!!。これじゃ、何だかよく分からないですよね。

言いたい事がものすごくあって、とりあえず私はとってもよく分かる(当たり前か…)。まあ、ものすごく簡単に一言で言うなら、「いかに効率よくパワーを出すか」ではなく、「重力のかかっていない浮かんでいる物体を素早く移動させるために、力は必要ない」ということ。「過度な加速は減速を招く」。「強弱より継続的な回転」。う〜ん、うまく伝わるかなぁ…。

そして、今回は、最新のプロジェクターとスクリーンを借りての講習。どうしても見せたいほんの一瞬の動きなど、かなりレアな角度からの映像ばかりだったと思いますし、大画面で見ることができよかったです!。毎回、1時間も話すことがあるかなぁ〜と思いながらも。、全然足りないくらいでした。このような企画をすると思いますので、またご参加ください!。


久々に、写真館の更新です!!。「マスターズ短水路・海老名大会」。海老名はものすごい写真の量でした!。非常に暗い会場なので、これでもだいぶ鮮やかにしたのですが、なんとなく色合いが悪い…。ハイテンションな感じは出ているかと…。あと、先日の撮影での写真です!!。こちらから…。



さあ、私あらいが会長をつとめます「狛江市水泳協会」。そろそろ、平成20年度、本格的に始動です!。

●これまでの経緯
これまでの経緯をざっと説明しますと、この狛江市水泳協会に、あらいは7〜8年ほど関わっておりましたが、役職にはつかず、その一員ということで、特にお手伝いすることもなく組織に関わっておりました。昨年の年度の切り替え時に、幹部の皆様が、皆様ご高齢ということもあり、「会長以下、事務局、会計、監査」などの幹部をやっていただける方がいなくなってしまい、「継続は困難…」ということで、40年近く続いている「水泳協会」が閉鎖という大ピンチに陥りました。
せっかく何十年も続いてきたこの水泳協会をつぶしてしまうのは、もったいない!!ということで、私あらいが「じゃあ私が会長をやりましょう!」と、言ってしまったところ、「では若い皆さん、よろしく!」ということで引き受けてしまいました。しかし、一人ではできるわけもなく、約半年近くにわたって、水泳協会に関わっていただける人を募ってまいりました。ご協力いただける皆様のおかげで、なんとか、組織を作ることができ、毎年8月に行なわれている「狛江市水泳協会」の最大のイベント「狛江市民水泳大会」に、例年の2倍以上の参加人数で大成功となりました。そして、今年もまた、8月の市民水泳大会に向けて、皆さんで、成功をさせたいと思っております。そこで、ご協力していただける方、大募集です!。とりあえず、市に提出する「水泳協会の役員人事」は昨年のままで提出しますので、こちらは大丈夫そうなのですが、もし、「狛江市水泳協会」の会員となって協力しましょう!という方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください!!。

●狛江市水泳協会会員とは…
基本的には、狛江市在住、在勤の方で構成された組織です。平成19年度は44名が会員となっております。会員さんの中には、水泳界では、超有名な大御所の顔ぶれもあります。水泳協会会員になるには、「年間1,000円」の年会費をお願いしております。この1,000円は、情報、連絡のための郵送料、また、会議などで使用する会議室の使用料、体育協会に支払う会費などに使われておりますが、その大半は使う用途がほとんどないため、貯蓄されております。「年間に1,000円払って何かメリットがあるのか?。」と言われると、これまでもそうでしたが、「ない」に等しいのです。そもそも協会自体が、ボランティア団体なので、誰ひとり報酬はありません。しかし、これからは、会員に何かメリットがあるようなことができればと思っております。現在も、会員だけが使用できるプール利用等の特典はあります。

●総会
毎年年度初めに「総会」があります。今年度は、5月24日(土)に開催します。詳しいことはこちらでお話しますので、水泳協会に興味のある方、メールください!。


NEWS『日本水泳連盟は7日の常務理事会で、北京五輪で日本代表選手が着用する水着について、サプライヤー契約している国内3社に改良を求めることを決めた。期限は5月30日までで、3社の水着の改良点を見た上で、日本水連は今後の対応を決める。現在、日本の五輪代表選手は、日本水連と契約しているミズノ、デサント、アシックスの3社から提供される水着のみ、五輪で着用可能となっており、選手も代表に内定する際、3社から選ぶことが明記された誓約書にサインしていた。しかし、今年に入って個人種目で出た長水路(50メートル)の世界新記録の18個のうち、英国・スピード社の新作水着「レーザーレーサー」で出た記録が17個と、極端な傾向が表れた。さらに4月、五輪代表選手による日本国内合宿が行われた際、選手がスピード社の新作水着を試着してタイムを計ったところ、スタートの15〜25メートルで0・5秒以上速く泳げる選手が複数現れるなど、性能の高さが確認された。このため、アテネ五輪の男子平泳ぎ2冠、北島康介選手(日本コカ・コーラ)を指導する平井伯昌コーチらから、使用できる水着について再考すべきとの意見が出されていた。新作水着は、超音波による接合で縫い目がなく、試着した日本代表選手からも「浮く感じがする」などの意見が出ていた。』


NEWS
『競泳で北京五輪に出場する近大の卒業生と学生合わせて4選手が7日、大阪・東大阪市の近大本部キャンパスで世耕弘昭理事長らに出場の報告をし、改めて健闘を誓った。卒業生の中西悠子(枚方SS)は「最後の五輪になると思うので悔いの残らないようにやりたい」、同じ卒業生の奥村幸大(イトマンSS)は「母校にメダルを持って帰りたい」。ともに1年生の入江陵介と山口美咲は「いい経験をし、4年後のロンドン五輪につなげたい」と抱負を述べた。競泳界ではいま、記録が出やすいと言われるスピード社の水着が話題。世耕理事長も「1秒くらい縮まるらしいね」と水を向けたが、選手は互いに顔を見合わせて苦笑い。国内メーカーとの絡みがあるためか、報道陣に対しても「今は何も言えない」(中西)と言葉を濁していた。』


NEWS
『「結果を水着のせいにするのは、弱者の言い訳に過ぎない。」これはオリンピックで4つの金メダルを獲得したアレクサンダー・ポポフのコメントである。さらに彼はこう続ける。「有利な立場にあるものがいるとしても、その相手にいかにして勝つかを考え、努力するのが、真の強者である。」8月に開催されるオリンピックを前にして、競泳界では激震が走った。今年の2月にSpeedo社が公開した、LZR racerと呼ばれる水着の登場である。これを着用したスイマーたちが、次々と世界記録を更新したからである。国際水泳連盟(FINA)の公式見解によると、今のところ同社の水着は同連盟の基準に違反していないとされているが、現在世界最強スイマーと称されるマイケル・フェルペスは、水中での抵抗の発生を最小限に抑える同社の水着を、まるでロケットのようだ、と称賛している(ちなみに彼は、北京オリンピックでも同社の水着を着用する)。同社の水着に対して批判的な立場からは、同社の水着を着用した選手によって、短期間で35個もの世界記録が樹立されたという事実をもとに、「テクノロジーのドーピングだ」と主張している。先のポポフが2000年に樹立した50メートル自由形の世界記録(21.64秒)も、今年に入って更新された記録の一つだ。今年の2月以降、この記録は8週間で4度も更新された(現在の世界記録は21.28秒)。選手を引退し、36歳になったポポフは現在、国際オリンピック委員会のメンバーであり、今回のオリンピックでも現地での観戦を予定している。彼は、現役時代にこの水着があったとしても、自らは着用しなかっただろう、として以下のように述べている。「私なら、モノに頼るのではなく、より多くの努力を重ねることでメダルを獲得することを選択するだろう。」彼はさらにこう続けている。「今の選手たちに一つだけアドバイスがある。もしだれよりもうまくて早く泳ぎたいのであれば、負けて苦い経験をすることを覚悟しなさい。それが世界一への近道なのだ。」国際水泳連盟の公式見解がどうあれ、同社の水着が他の水着に比べ大きな優位性を持っているのは間違いないであろう。したがって、短期的に見れば、この水着を使うのが有利なのは間違いない。しかしつい最近まで世界のトップ・スイマーだった彼が述べているのは、競技者としての長期的な心構えの部分である。意外にも世界は、精神論全盛時代なのかもしれない。』


NEWS
『聖火リレーにおける混乱のニュースが毎日のように世界を駆け巡っている。そして、それを見た多くの人々が「北京オリンピックはもはや“平和の祭典”などではない」「中国でのオリンピック開催は失敗だった」と嘆いていることも、同時にあちらこちらから伝わってくる。たしかに、これだけさまざまな問題が噴出すれば、そのように思えてしまうのも無理はない。しかし、違った視点からこの北京オリンピックというものをとらえてみることはできないであろうか。もし、オリンピックが今年中国で開催されることがなかったらいったいどうなっていたであろうか…と。振り返れば2001年7月にモスクワで開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会において2008年のオリンピック夏季大会が中国・北京で開催することが決定したわけだが、それ以降、世界の視線は確実に中国という国に強く注がれるようになっていったはずである。そしてそのような流れのなかで、中国からの輸出品(中国産の食品・薬品・玩具など)に対する安全性の問題や、ダルフール問題における中国政府の対応といった国際的な問題点、あるいはチベット問題に代表されるような中国国内における民族的な諸問題の存在といったものなどが大きく世界中でクローズアップされてきたはずである。もし仮に、2008年のオリンピックが中国で開催されず、世界中の視線があまり中国という国に注がれてこなかったとしたら、今述べたような諸問題は今日ほど大きな問題として世界中のメディアに取り上げられることもなかったかもしれない。そして、もし中国からの輸出品に対する諸々の安全性に関する問題がこれだけ世界中で声高に叫ばれることがなかったとしたら、それらによる被害はさらに大きくなっていたかもしれないのである。あるいはまた、チベットにおける騒乱は、オリンピックの開催により世界中の視線が中国に向けられているという理由から、まさにこの時期を狙って起こされたものであろうが、これもまた、もし今年中国でオリンピックが開催されることがなければ、彼らの心の叫びともいうべき声をわれわれは聞きとめることができなかったであろうし、中国国内にいまだそうした問題が燻ぶり続けているという事実さえもわれわれは知り得ることができなかったかもしれないのである。また現在、中国ではオリンピックの開催に合わせて必死になって自国の「文明化」(≒文化的な向上)に取り組んでいる。日常的な生活の場面においてきちんと順番を守って並ぶことの重要性を説いたり、環境・衛生面に対する意識の向上といったものを懸命に呼びかけるなど、「文明化」への啓蒙活動に非常に力を注いでいる。それを「オリンピックのために必死だな」と冷ややかな目で冷笑するのは簡単だが、中国という国のこれからを考えてみた場合、このオリンピックの開催を契機とした「文明化」への促進といったものは非常に大きな意味を持っているように思われる。まだまだ真の意味での「文明化」には程遠いが、少しずつ、いろいろな意味で人々の意識が変わってきているのもまた事実である。オリンピックというイベントが、今日のように良くも悪くも世界中から注目される世界的な一大イベントとなっているということは、それだけその開催国に対しての厳しい視線が世界中から数多く降り注がれるということでもある。そしてそれによって、開催国の国家としての実像がより明らかになったり、その国が抱えている諸問題が明るみに出たり、あるいはまた、オリンピックの開催を契機として自国の文化的の向上などを促進させたりと、期せずしてそれは多くのさまざまな“副産物”をも同時に生み出すことにもなっていよう。筆者はこれまでオリンピックというイベントを、単に商業主義的な金儲けのための道具としてしか見てこなかったが、もしオリンピックという一大イベントにこのような作用ないし役割といったものが見出せるならば、そこには「平和の祭典」という謳い文句で踊らされる商業主義的なスポーツイベントとしてのオリンピックではなく、それ以上にはるかに大きな意義をもった世界規模でのイベントとしてのオリンピックといったものがそこには見出せるような気がしてならない。もちろん、スポーツそのものに「政治」を持ち込むのは歓迎されるべきことではないが、あくまでもその“副産物”として、開催国に関連するさまざまな問題点がわれわれの眼前に表面化、顕在化してくることは、そこにある問題を解決する第一歩として非常に重要になってくるのではなかろうか。陸上や水泳などといった個別の競技は、それぞれの世界大会において競うこともできよう。そのようななかで、あえて4年に一度、オリンピックという世界的な一大イベントを開催する以上は、オリンピックがオリンピックとしてのアイデンティ(存在価値)を持っていなければならない。そしてそれは、商業主義的な金儲けの道具でも、国家の発揚やナショナリズムの高揚のためといった政治的な道具でも決してないはずである。オリンピックが有するオリンピックとしてのアイデンティティ(存在価値)は、奇しくも今回さまざまな問題を内包している中国という国での開催によって明らかになったように、開催国が抱える諸問題を世界中の人々が共通して認識したり、開催国における文化的な向上を促進させるといったことにこそあるのではなかろうか。目下、聖火リレーが世界各地で大混乱のなか行われているが、大混乱になっているというその事実こそ、そこには開催国に関連する何らかの大きな問題が顕在化している証ともいえよう。そして上記のような観点から見てみた場合、多分に逆説的ではあるけれども、北京オリンピックはすでにその役割を十分に果たしているといえる。批判ばかりが目立つ今回の北京オリンピックであるが、見方を変えれば、ある意味ですでに「成功」を収めていると言ってもよいのかもしれない。「平和の祭典」としてではなく、「平和のための祭典」としての重要な役割を、これからのオリンピックは担っていくことがあってもいいのではないかと考える。そのように考えると、多くの問題を内包し、未だ発展途上にある中国という国でオリンピックを開催するということは、決して「間違い」でも「失敗」でもないと考えたい。むしろ、オリンピックというイベントに対するわれわれの意識の方を、これからは変えていく必要性もあるのではないだろうか。今回の中国でのオリンピックのように、敢えて発展途上の国や多くの問題を内包した国においてオリンピックを開催する。逆説的ではあるが、今後の世界の発展、世界の平和というものを考えたさい、このような発想の転換もあっても良いように思えるのだが、どうであろうか?』








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