

日本に最初にクロールが伝わったのは1921年のこと
ストロークの方法に科学的根拠のない時代
選手、また指導者たちは速い選手を見ては真似し
ああでもないこうでもないと研究を重ねてきました…
1920年
日本がはじめてオリンピックに出場する
それまで日本の競泳は日本泳法でスピードを出していました
1921年
日本にクロールが輸入される
そして日本はそのクロールを研究し
3年後のオリンピックで早くも世界で4位に入賞
その4年後のオリンピックではついにメダルを獲得する事になります
その当時のクロールの解説書には下記のようなことが書かれてありました
1929年のクロール解説書「水泳 齋藤巍洋」
「クロールは8年前に日本に輸入された
当時は外国人の模倣 腕力では勝てない
外国人のように足を伸ばしていてはダメだ 膝を曲げ足で対抗しなければ…
頭を上げ 水面に肩を浮かす 腰を伸ばす 足を沈める
胸を中心に左右の腕で水面を這うような形をとる
頭を水に突っ込むと水の抵抗が増え足は浮きバタ足が効かなくなる
船の櫓を見習え 最初より激しい力を加えはしない
グーッと捕らえて最後のところで強く押すと舟は奇妙な円滑なまっすぐな進行を続ける
手のかき
右手が水面に入る瞬間には 左のかき手は未だ身体の直下 より前35度くらいのところ
すなわち これから最後の強い一かきを効かせようというところになければならぬ
長距離は この時に右手にて浮きをとり 左にて十分に水をかく
このかく距離が長ければ長いほどよく伸びる
ただし右手を前方に伸ばした頃 左手が腰の辺りに来ているようでは
右手が未だキャッチを十分しないうちに 左手が抜き上げられるようになり
じゅうぶんかき手が効かなくなる 進行が円滑にいかずぎこちない
これではいかに頑張ってもレコードは上がらない
肩の前方にひじを少し曲げたまま 水面と15度くらいの角度にて
水を斜め外側に逃がしながら指先より突っ込んでいく
このとき肩を落とすと肘のほうが先に沈んで 手のひらが内側に向きよくない
手が軽く伸びた頃 じゅうぶん手のひらに水をからませ後方に押しやるのである
腕の長いひとはあまり肘を伸ばさないで水面下20度くらいのところでキャッチしてよかろう
キャッチの瞬間は 手のひらは少し外側手首を少し曲げる
親指に力を入れる気味にてかき始める 腕が水面と45度をなす頃から強くかき
腰に近いところから肘を伸ばすつもりで最後の強い一かきを水に与える
水の抵抗によって 力強くかくときには多少「く」の字にかかざるを得ないが
短距離の場合には これに打ち勝ってまっすぐかくことが必要である
身体の真下 甚だしきは反対側をかいたり
終わり頃に腹の下へ水をかき込むようなことは避けるほうがよい
目玉が飛び出すほど強いフィニッシュをもって 親指が股まできたらすぐ力を抜いてしまおう
鴨の泳いでいる時足先の動き具合を観察してみたまえ
この気持ちを真似ればよい
抜き上げるときに力を入れることは害あって益なしである
力を抜けば肘も自然に曲がり手首もふらふらになる
手先が水面に触れない程度でなるべく低く肘でもっていく
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これが姿勢と 腕の動きの解説です
すでに この時代にこのような理論ができていたこと
この本には
「日本のクロールが世界一になる時代は
いつやってくるのであろう」
と書かれてあります
そして この数年後
日本は自由形で世界記録を更新し 金メダルを量産していきます
多少荒削りな点もありますが
既にこの時代に
ここまでの解説ができていた事に 大変驚きました!!