雑誌「SWIM・11月号」の記事



19日発売の雑誌「SWIM11月号」が届きました!!。予定通り、58〜59ページにかけて記事が載りました!。う〜ん今年は、これで記事を書いたのが5回目だ〜!。記事は、雑誌「SWIM・11月号」の「いまさら聞けない質問コーナー」というところ。呼吸のお話です。ちょっと質問自体が「???」というところなので、その質問の回答としての視点から話を書いています。長距離を泳ぐために必要な呼吸法というよりは、一般的に基本的な呼吸の仕方です。かなり編集されて、原文からは多少変わってしまっているので、こちらにその原文を載せます。


「雑誌SWIM・原稿」
長い距離を泳ぐということは、同じ動作を何度も何度も繰り返すということ。何百回、何千回と、同じ動作を繰り返すうちに、自然と、自分の癖が出てしまうものです。この癖というも人それぞれで、キックが不規則になる、頭が動く、身体が上下動する…など様々。特に長距離で出てしまう癖というのは、自分が一番やりやすい形、動かしやすい動作だと思います。その動かしやすい動作が、いい動きであれば言うことなしですが、たいていの場合、そうではありません。身体が沈んでいたり、必要以上に長く呼吸をしていたり…。その中でも、よくありがちな癖が、この質問の呼吸の時に身体が開いてしまうという癖。身体が開くとは、呼吸する時にローリングをしすぎてしまうこと。反対の腕がうまく上がらないのもこれが原因だと考えられます。長い距離を泳ぐことで、息苦しく感じてきて、無意識のうちに、だんだん呼吸の動作が必要以上に長く、動きが大きくなってしまうのだと思います。しかし、これをすることで、楽かもしれませんが、フォームは崩れ、スピードが出なくなってしまいます。そこで今回の場合、呼吸の方法に、問題がありそうなので、呼吸の動作をふまえた、呼吸法、その改善方法をまとめてみました。

●長距離泳での呼吸法
短い距離を泳ぐためには、それほど酸素をとらなくても泳げてしまいます。短距離運動は無酸素運動と言われるように、数十秒なら全く呼吸をしなくても、むしろしないほうが能力を発揮できると言われています。しかし、長距離は、そうはいきません。有酸素運動と言われるように、長距離では常に体内に酸素を取り入れなければいけません。この酸素の取り入れ方なんですが、たくさん息を吸って、苦しくなったらまた呼吸するような、いわゆる「深呼吸」は、長距離を泳ぐ上であまり好ましくありません。どうしても苦しくなると、たくさん息を吸いたくなってしまいがちですが、この深呼吸を繰り返すと、よけい苦しさが増して長距離が続かなくなります。呼吸の時に、「たくさん吸った」と感じるような呼吸は、深い呼吸をしている証拠なので、距離が進むにつれ、苦しくなってきますし、フォームが崩れる原因にもつながります。

●呼吸
水泳の呼吸は「口から息を吸って、鼻と口から出す」のが基本です。初心者のうちは、水中で息を止めてしまいがちなので、水中で息を吐く習慣をつけるために、たくさん息を吐く練習をすると良いのですが、ある程度、無意識に鼻と口から、息を吐く習慣が身についたら、目いっぱい息を吐くのではなく、吐く量を調節し、苦しくならない呼吸の練習をしていきます。顔が水中にある間、ずっと息を吐き続けて、息を吐ききってしまいますと、水から顔を上げたときに、息を吐ききって、なくなってしまった分、目いっぱい息を吸うことになります。このような深い呼吸を続けると、苦しくなる原因につながります。ではどのように呼吸をしたらよいのでしょうか?。

●息をはくタイミング
楽に呼吸をするには、上手に息を吐けることが大事です。上手に息を吐くには、息を吐くタイミングを知ること。息を吐くタイミングは、一度にたくさんの息を吐かずに、徐々に少しずつ息を吐きはじめ、顔を上げる直前に、ボコボコッと、強目に息を吐きます。つまり、「吸う直前に息を吐く」のがベストです。この、吸う直前に息を吐く練習を1つご紹介。
・ブレスドリル@  呼吸側の手のかきの時のみ息を吐く  <やりかた>
右呼吸の人の場合、左手をかいている時は息は吐かず、右手をかいている時に息を吐くようにします。

●息を吐く量
息をはく量は、苦しくならないくらいがいいのですが、その目安として、肺の中に「10」空気が入っているとすると、そのうちの「5」は残しておいて、残りの「5」を出したり入れたりする感覚がいいと思います。息を吸ったときに「はーっ!」と、吸っている音が出てしまう人は、深い呼吸になっている証拠。「たくさん吸った」と思えたら、それは深い呼吸で、「吸ったどうかよく分からない」くらいの感覚がいいかと思います。1回の呼吸は深すぎず、呼吸回数は多くすること。これが、長く続く呼吸です。クロールで言うと、右なら右で毎回呼吸する「2回に1回」や、右左を交互に呼吸する「3回に1回」あたりがいいでしょう。
・ブレスドリルA  吐く量を変えて泳ぐ <やりかた>
肺の中の空気「10」のうち。水中で吐く量を「10」「5」「1」など、吐く量を自分で変えて泳いでみて、どれが一番楽に呼吸できるか考える。

●片側呼吸
片側だけで呼吸をすることは、全く問題ないことです。やりやすい、やりにくい、があっていいと思います。人間、全く左右対象というわけにはいきませんし、右左が若干違うのは当然のことで、右利き左利きなどによっても違ってくると思います。左右を全く同じにする必要もないと思います。ただ、「右の呼吸はできるけど、左は全くできない」というのは、やはり問題で、少なくとも「左右、どちらでも呼吸はできるが、どちらかといえば右のほうが楽」くらいの感覚になる必要はあると思います。

●左右で呼吸する
平泳ぎやバタフライは左右の手を同時に動かします。同時に動かすので、呼吸の時に前に顔を向けるのが一番自然な動きとなります。しかし、クロールの場合、うつ伏せで、片方ずつ腕を回して泳ぎます。片方ずつ腕を回すことで、左右に身体が動きます。これをローリングといいます。左右に身体が動くので、顔も左右に上げた方が自然な動きと言えます。動きの上では、右と左に何の違いもありませんので、左右どちらでも同じように向くことができるはずなのです。例えば、陸上で首を右に向けるのと、左に向けるのとで、それほど左右の違いはないと思います。まっすぐ立って「正面」を向き、そのまま右に90度、左に90度、首を回してみてください。呼吸の動作というのは、これだけのことです。呼吸の時に、首を回しすぎたり、あごを引いたり、あごを出したりすることで、余計な動きになってしまい、軸が崩れ、うまく呼吸ができなくなることが多いのです。クロールを泳いでいる時は、ローリングをしています。このローリングに合わせて、ちょっと左右に首を回すだけで、とっても楽に顔が上がり、呼吸がスムーズに出来ます。「呼吸」という動作は、「わざわざする」という動きではなく、「ほとんど動きのないもの」なので、「呼吸のために顔を上げた」と思えるほどの動きがあったら、それは、余計な動きだと思った方がいいかもしれません。
・コルセットスイム<やりかた>
ムチ打ちなどで、首につけるコルセット。この首につけるコルセットをつけていると想像してみてください。首にコルセットをつけると、あごを引くことも出すこともできません。ただ、左右には、ちょっとだけ動かすことができます。これがまさに呼吸をする時の首の動きなんです。「首にコルセットをつけているつもりで泳ぐ」と、無駄な動きをなくす、いいイメージになると思います。

●やりにくい側の克服@
やりにくい側の呼吸がある場合、やりやすい側の呼吸に問題があることが多いです。やはりどうしても、やりやすい側というのは、ローリングが大きくなりがちです。まずは、やりやすい側のローリングが開きすぎてないかチェックをしてみましょう。
・キックカウントスイム【やりかた】
ローリングが開きすぎになっているかどうかを確認する方法として、やりやすい側で呼吸をしている時に、反対側の手のストロークで、「1かきに3回のキックがスムーズに打てるかどうか」ということをチェックします。分かりやすく言うと、例えばAさんはいつも左呼吸だとします。Aさんが左で呼吸をしている時に、水中をかいているのは右手になります。この右手をかいている間に、3回キックが打てれば、ローリングの開きは大きくないということです。呼吸をしている時にローリングが大きくなってしまう人は、ローリングの時に腰も回りすぎてしまい、横に開いたようなキックを打ってしまいます。そうすると、1キックもしくは2キック以上打てなくなります。実際に、クロールを泳ぐ時に、必ず、1かきで3キックにする必要はなく、自分の打ちやすいリズムでキックを打つと良いのですが、ローリングの開き具合を計る目安として、「呼吸の時に3回キックが打てるかどうか」は、とても分かりやすいので試してみてください。

●やりにくい側の克服A
逆に、やりにくい側の問題としては、やりにくい側のローリングが少ないこともあります。特にやりにくい側の呼吸の練習をする際には、やりにくい側のローリングをわざと大きくして練習をすると呼吸がしやすくなると思います。
・片手クロール【やりかた】
片手のクロールは大変有効な練習ですが、使わないほうの手を前に伸ばして行なう片手クロールだと、伸ばしている手が支えとなってしまい、実際の泳ぎの感覚とは違ってしまうので、使わない手は気をつけの状態にして、呼吸とは反対側の手の片手クロールがいい練習となります。例えば、Aさんはいつも左呼吸だとします。やりにくい側は右側になりますので、左手で片手のクロールをして、右手は気をつけ、呼吸は右で行ないます。呼吸のタイミングは、左手を入水し、肩を前に出しながら、右側で呼吸をします。

●やりにくい側の克服B
両側で呼吸をしながら泳ぐ練習方法をいくつかご紹介します。。
・ハイポ3
3かきに1回の呼吸で泳ぐ練習。これはよくある両側呼吸の定番で、皆さんもやったことがあるかと思います。
・ハイポ3−2−3−2
これは、呼吸を、3回に1回、2回に1回、3回に1回、2回に1回…と繰り返していきます。そうすると、はじめは右で呼吸すると、次は左、次はもう一度左、次は右…と、このように、やりにくい側が2回連続でやって来るのです。これも両側克服のためには有効な練習です。
・ハイポ3+4
これは、3回目と4回目に呼吸をするというもの。はじめは右で呼吸すると次は左、続けて右で呼吸します。連続して左右で呼吸することで、軸もしっかりしてないとできませんし、呼吸の時に身体が開いてしまっても次に間に合いません。これは非常に有効な練習です。お試しください!。